言葉の誠実さ
「ICO」を初めてプレイした当時私はまだ14,5歳の子供でした。
生活に漠然とした違和感を覚えながらそれを言語化することもできない日々を
過ごしていたところに、このイマジネーションそのもののようなゲームと出会いました。
どこの文化圏なのかもいつの時代なのかもわからない世界の中で、
何か特別な思い入れがあるわけではない少女を、真っ黒な陰から守り通そうとする
少年に自分を重ねながら、これ以上美しいものなんてそうないよな、
と納得しながらプレイしたのを覚えています。
大人になって以来じぶんの現実を振り返ってみても、あんなファンタジックな体験は
起こりえなかったし、これからも地味で猥雑な人生が続いていくでしょうが、
いついかなる時も「ICO」の切れ端を生活に感じながら今まで生きてきました。
イコの献身せい、ヨルダの寝顔、黒い影の恐ろしさに似たものを現実に見つけ、
この世もまた「ICO」の世界と地続きにあることを知ることができたのです。
このゲームと出会えなかったら、わたしはいまだに漠然とした違和感の中に閉じこもって
空虚な日々を送っていたかもしれません。
ICO 20th ANNIVERSARY
米津玄師
あなたに夢中・・今一番美しいと感じる
現在 泥沼のなかにいるような私の唯一きれいな光
光があるからまだ歩きます。
醜い人がたくさんいても唯一 美しい人が一人いればいい・・
たくさんはいらない
たったひとり いればいい